私たちは、いろいろな欲望や願望を持って生きています。「あれが欲しい、これが欲しい」という物欲から、金銭欲、名誉欲など限りがありません。そして、その欲によって悩まされ苦しめられています。反面、その欲によって物事の進歩発展をもたらし、生活を豊かにもしてくれます。きものの場合も、原始時代の寒暑を防ぎ身を守る「もの」から、長い歴史と伝統に培われ今日のきものにまで発展し、美に対する欲望を満たしてくれるようになりました。
美に対する満足度を更に高め、より確かなものにするにためには、長い発展の過程やその心を深く知らなければなりません。そして、きものは着ることによって楽しむことが大切です。「知之者、不如好之者。好之者、不如楽之者。」これは中国の論語の一説です。「学問を知っている人も、本当に知る事が好きだという人にはかなわない。また、好きというのも、これを本当に楽しんでいる人には及ばないものだ。」という意味です。
きものの着付も、本科、専攻科と学び、師範科や高等師範科の課程ともなれば、技術を修得するだけではなく、喜び楽しむ気持ちをしっかり持たなくてはなりません。それには、多くの知識を身につけることが必要です。本書が少しでも、そのお役に立てればと思います。
◎講義内容
- 帯を結ぶ方法
- のし太鼓
- 花文庫
- 萌
- 揚羽蝶
- 華扇
- 幸結び
- 彩宝
- 二輪草
- ゆい文庫
- 花寿
- 綾結び
- 本後見